2018/10/07(日)業務日誌

2018/10/07(日)
約束の時間に店へ。ブックオフ出張買取のドライバーさんも時間通り到着。これで一安心だ(内装業者さんに迷惑をかけない俺優秀だな・・・)。本人確認のため免許証をお見せする。

「・・・・・・住所がここと違いますね」
「ここは店をやるために借りた物件なので自宅とは違う住所です」
「身分証明書と住所が合わないと引き取ることはできません」
「そうでしたか(ハア?聞いてねーぞ顔の確認じゃねーのかよ)。どうすればいいですか?」
「確認してみます」

電話でオペレーションセンター的なところに確認するドライバーさん。説明が要領を得なくて伝わってない様子なので代わって説明。が、やはり身分証明書の住所と一致しない限りは引き取れないとのこと。で、運送会社に集荷に来てもらうやり方があって、こっちなら後日自宅住所確認の書類を書いて返送すればOKらしい。仕方ないのでそっちの方法で申し込む。さいわいなことに明日来てもらえることに。

「連日こういう不手際があるので気をつけてください」とドライバーさんが電話の向こうの人に言った。
そりゃあそうだろう。こっちは予約したときにそのことを確認されてないのだ。

あとから思ったが、古物商は確か店頭か依頼人の自宅でしか買い取りが出来ない。それが関係しているのか?もっともその制限も緩和されるようだが。

それにしても、出張買取も運送会社による集荷も査定は後日だ。ドライバーさんが本を持っていき、後日指定の口座に指定額が振り込まれる。つまりUXは同じなのだ。なのに引き取る/引き取れないの違いがあるのはおかしいだろう。

というわけで古本の撤去はさらに翌日になった。

2018/10/06(土) 業務日誌

2018/10/06(土)
大家さんに頂いた古本を撤去する必要があった。内装工事の着工日が10月10日だからそれまでに。
図録、文庫本、やきもの関係、美術関係、芥川全集、古文書、わたせせいぞう、西遊記、理論社の児童書、絵本、NARUTOの廉価版コミック、ブラック・エンジェルズ、山岸凉子、手塚、『プールサイド小景』著者毛筆署名入り限定500部未開封、エトセトラ、エトセトラ、エトセトラ。共通点はすべてホコリにまみれていることだ。ざっとダンボール箱13〜14箱分くらい。
本を譲ってくださると仰ってくれたので「タダなら喜んで頂きますんで置いてってください」と回答。てっきり1〜2箱だと思っていたらこうである。

店に置きたい本と私物化したい本はすべて自宅へ持ち帰った。店と自宅を2往復。腕と指が引きちぎれた。残りは売却だ。

西荻窪は古本屋がたくさんあるので、ジャンルごとに適切なところに売るのが理想だが、もう猶予がない。なので音羽館さんに行って相談することにした。いきなり出張買取を依頼するのは気が引けたのでまずは本の写真を見て頂こうと思った。状態が良くないのと、値がつかない本が多い気がしたからだ。

Instagramにアップするために
①ダンボール箱から本を取り出す
②アルコール除菌シートでざっと表面をクリーニング
③スマートフォンで撮影
ということを先日やっておいて良かった。

土曜の夜の9時半頃、雨の中音羽館へ。徒歩2分。
閉店間際で申し訳なかったが、見て頂けた。結論としては値を付けるのは難しいとのこと。予想通りなので全く問題ない。「古文書はどうですか?」「こういうかしこまったやつじゃなくてもっと下世話な本だとおもしろいんだけどね」とのこと。なるほど、たしかに。自己紹介と名刺交換。どう思われるのだろう?

それにしても、恥ずかしながら初めて音羽館に入った。なんか、すごく好きになった。なんと言ったらいいのか・・・オシャレなわけじゃないのにすごくお洒落な空間にいる気分になるのだ。きっとセレクトしている本とその状態が良質だからだと思った。オアシスやん!ファンが足繁く通うのもうなずける。吉行淳之介の『ダンディな食卓』を購入して帰宅。

さて、課題は解決していない。急ぎ古本を撤去しなければ工事ができない。ブックオフの出張買取を依頼することにした。値が付かなくても処分してくれるので、第二候補として決めていた。

本屋の多様性とTrustlessnessと主体性を『これからの本屋読本』

内沼晋太郎さんの『これからの本屋読本』を読了しました。

「別冊 本の仕入れ方大全」から読み始めたのですが、「仲間卸」という複数の取次を経由して本を仕入れることができる仕組みがあると知ったのは大きな収穫でした。
子どもの文化普及協会、foyer、トランスビュー、ツバメ出版流通などの取引の敷居が低い中小取次があることは調べて知っていました。これらの中小取次で取り扱っていない出版物については仕入れるのは難しいんだろうか・・・と疑問に思っていましたが、仲間卸の仕組みによって直接取引の無い出版社の本も入手が可能だということが分かりました。さらに鍬谷書店弘正堂図書販売を知りました。大変かもしれないけど、いろいろ工夫すれば望む本を仕入れることができるのでは、という希望が強まりました。

仕入れたい本を選ぶ。その本はどういうルートで仕入れられるのか調べる。ということを地道にやっていけば、いずれは選書と仕入れノウハウそのものが店の強みになるんじゃなかろうか・・・なるといいなと思いました。

第5章「本屋をダウンサイジングする」から第8章「本屋を本業から切り離す」までは多様な本屋の業態・あり方が提示されています。この本を読んだ方はきっと本屋経営に興味のある人だと思うので、主体性を刺激されたのではないだろうか。どんなやり方で本屋を形作っていくのが自分らしいかな、と想像したのでは?僕ももちろんその一人です。

僕の場合は「ああ疲れた・・・うまいビール飲みながら本読める店ねえか」という思念から始まっているので、初めからクラフトビール×本屋の掛け合わせです。
それに、日販・トーハンと契約して街の本屋を開業する、というのは自分のやり方ではないと思っていました。それって門外漢が今さらやることなの?と。経験も元手もない僕にはそもそもが無理な話ですし。

目的の達成が難しい状況になると実現手段が多様化する、というのは良いことに思えます。特に、Trustless(信用不要)な手段が充実していくことが大切だと感じます。大取次は信用(保証金とか)を求めるTrustness。中小取次は信用不要のTrustlessness。すごくインターネット的です。好きな流れです。

ありえない話ですが、例えば「ウチの本屋を継いでくれ」と僕が頼まれたとして、そこを継いでそのまま働くのはやりたいことと違う気がします。自分が思い描いている店がポンッと現れて、「これがあなたの欲しかった店でしょう?さあ好きなだけ働きなさいな」となったとしても、それも違う気がします。なに贅沢なこと言ってんだお前、と怒られそうですが、主体性が根こそぎ奪わるような、自分ごとじゃない感じになってしまうことだけは避けなければならないと思うんですね。
そんなことを思いました。いや、実際そんなチャンスに恵まれたら目の色変えて飛びつく気がしますけど。

けんすう氏のこの記事をレコメンドとして貼っておきます。
「目的があっての手段だ」なんて考え、つまらなくないですか?

とは言ってもまだ不安は残ります。
取り扱いたい本があるけど、思った通りに卸してくれるのか?実際、在庫ってどんだけあるの?100冊の本を選んで、希望通りに仕入れられる率は何%くらい?90%?50%?コミックは仕入れられるのか?ジャンプコミックスとか講談社とか。在庫はあるけど他の得意先が優遇されることは当然あるでしょ・・・?
のような、暗黙的なルールや常識観や村八分的な何かががあるのでは・・・など茫漠とした不安は絶えないです。まあ飛び込んでみないと分からないですねさすがに。

ありがたい数字あれこれ
さらっと書いている数字が非常に貴重な情報でした。こういうのが分かんないんですよほんとに。

売上の指標は客数×客単価
これは本屋に限らないのでもちろん認識していたのですが、もう一つの指標として「冊数の10%」をあるお方に教わりました。
数値の乖離が大きくて、どう考えればいいの??となっています。
とりあえず少ない方(冊数の10%)を採用して助成金の事業計画書は書きました。

新刊書店の平均的な客単価は1300円程度
ググったら出てくる情報なので自分の調査不足。勘で800円にしてた。
自分は一度に1000円以上使うことってあまりないので意外と高いと思った。

店の広さは20~30坪がひとつの目安
193ページ。
これは本だけ売る前提なので、じゃあ別業態と組み合わせた場合はどのくらいかな、とかを考える拠り所になる。

短い営業時間
194ページ。
アルコールを提供するのなら夜間にアドバンテージがあると考える。
それに、自分の思いとしては日中頑張って働いた人が仕事帰りに一息つける本屋にしたい。
なので最初は夜だけ開いてみる?逆に昼から開いて昼酒のニーズを掘り起こせたら面白い?とか考える。西荻ならどちらも試す価値がある。

誠光社 堀部氏
231ページ。
18坪。1日の売上7万円。月300万(イベント、webなど含め)。粗利が90万。そこから返済とかしてる。

232ページ。
25坪で150万は難しいという見解(店舗だけの売上で)。こういう見解はただただ有り難い。

これからの
個人的にこの時期にこういう本が読めて有り難いです。『本屋、はじめました』の付録に続いて「別冊 本の仕入れ方大全」が読めるのは書店経営の情報難民としては(しつこいようだけど)「有り難い」の一言に尽きます。

望むべくは、インターネットで全文公開してほしい。

いや、そうせずとも、もっとネット上の情報が充実してほしい。過剰気味でいい。

一口に本屋、出版業界と言ってもその人が関わってこなかった部分については知らないことがある、ということがどこかに書いてあった(どこか忘れてしまってごめんなさい)。考えてみたら当然だ。IT業界だって全てのITスキルを有するパーフェクトヒューマンなどこの世に存在しない。それどころか、エンジニア同士でも共通の話題を見つけるのは思いのほか難しい。専門外のことは分からないからだ。

だからこそ、網羅的なポータルサイトは有用なはずだ。知らない言葉を知ることができる。鍬谷書店のwebサイトに到達できるのは”鍬谷書店”というキーワードを知ってる人だけだと思う。僕には無理でした。ITリテラシーはあっても、本屋リテラシーは無いからだ。この情報断絶は良くない。

「飲食店 開業」でGoogle検索すると、1780万件の検索結果がヒットする。「本屋 開業」だと78万件だ。1700万件の開きがある。
検索結果を見てみると、前者は飲食店の開業をサポート・指南するポータルサイトや創業融資のwebサイトが充実しているのがわかる。本屋の検索結果にそのようなコンテンツがあるかといえば、正直心許ない印象を受ける。また、飲食店の検索結果には広告が表示されている。飲食店を開業したい人をターゲットにした広告だ。税理士事務所や施工会社が、店舗づくりをサポートしますよ、と広告を打っているのだ。一方、本屋の検索結果には広告は表示されない。
検索結果はパーソナライズドされている可能性があるので誰でもこうなるわけではないと思うが、飲食店に対して情報供給の量に大きな差をつけられているのは明白だ。

そもそも売ってるものが違う飲食店と単純に比較できないのは当然ですけど、それにしたって1700万件て!
本屋やりたい人なんていくらでもいるのに(知らんけど)。
調理師免許もなんにもいらない。居抜きでもスケルトンでも、本棚突っ込んで本を収めたらあとはもうペラっと開業届を出せばおしまい。敷居は低い。
であればもっと情報が増えてもいいですよね?

webでヒットする飲食店の開業ノウハウは玉石混交だが、まあそんなものだ。量が質に転化する、と誰かも言ってたし。なんで本屋の開業ノウハウは少ないのだろう?インターネットに対してディタッチメントな姿勢の方が多いのだろうか?実際そんな人いる?んなことある?検索性を高めるのはめっちゃ大事かと思います。

あ、自分がそれをやれって話か。
資金繰りがうまくいったらそのうち・・・。