仲良くなるまでの段取り 尾崎大輔

ばんぶんぼん!は作家の小原晩、星野文月とBREWBOOKS尾崎大輔の3人によるリレー連載です。3人で話してみたいテーマを持ち寄って、自分の思うこと、ふたりに聞いてみたいことなどを書いていきます。連載のタイトルは3人の名前や愛称をくっつけました。


文・写真・題字:小原晩/星野文月/尾崎大輔
キービジュアル:モノ・ホーミー

仲良くなる……。仲良くなりたいと思って、距離感とか振る舞いとかいろいろ間違えてうまくいかなかった記憶が呼び覚まされてウウッ!!ってなる。あるいはものすごく寄り添ってくれてるのにこっちの挙動がおかしくなり相手を残念がらせてしまったことを思い出しウウッ!!ってなる。そんなテーマですね。

気軽に飲みに行ける友だちは常にほしいです。最近は自分が男性であることや年齢的なことも踏まえて、相手を緊張させないようにとか、断りやすいさそい方をしようとか、そういうことも心がけないとなと思うようになりました。でもそもそもの話として、僕はまず人を避けがちです。ものすごく消極的なほうだと思います。自分からは、近づかない…!人見知りをするので初見では徹底して受け身です。相手が何か話をしていて、僕は「はあ」と聞いている。聞いているけど、でもまあ、ほんとは聞いてない。名前は名刺から目を離した瞬間に忘れてしまうし、顔も覚えられない。次に会った時に「はて。見たことがあるような、ないような」くらい曖昧に記憶に残っていればマシなほう。いつどこでどういう用件で会ったかなんてことはすぐに忘れてしまいます。心の動きとしてはなんというか防衛機構がはたらいている感じ。心を開くよりは閉じるほうにはたらく。二人の門兵が槍をガシャーンと交差させて行く手を阻み「何者だ貴様」と凄む。僕でなく門兵が。過保護な門兵…。

そんな人間でも会う機会を重ねることで徐々に心を開いていくので、会うって偉大だなと思います。会うことの何が良いかって、その人の不完全な部分も見えるところだと思います。不完全な部分というのは「アホ毛が出てる」とか、なんかその程度のこと。でもそのおかげで「ああ、この人もアホ毛出るんだ」とホッとしてより親しみを感じたりする。おそらくは、そもそも自分の中で他者を不必要に大きく想定してしまっていて、ビビってるんだと思います。そういう虚像は会うことで徐々に消えていって、だいたい一年くらい経つとふいに心が開いたりします。メールのやり取りやZoomだけではなかなかそうならない。

なのでグイグイ来てくれる人はけっこうありがたい存在だと思っています。でもグイグイ来る人としか仲良くなれないのも考えものですね。それはどうかと思います。どうすればいいですか?

尾崎大輔 / Daisuke Ozaki

1982年生まれ。2018年にBREWBOOKSをオープン。

だいたい2時半くらいに寝ます。