仲良くなるまでの段取り 星野文月

ばんぶんぼん!は作家の小原晩、星野文月とBREWBOOKS尾崎大輔の3人によるリレー連載です。3人で話してみたいテーマを持ち寄って、自分の思うこと、ふたりに聞いてみたいことなどを書いていきます。連載のタイトルは3人の名前や愛称をくっつけました。


文・写真・題字:小原晩/星野文月/尾崎大輔
キービジュアル:モノ・ホーミー


この人と仲良くなりたい!って思う人がいたら、私はあなたと仲良くなりたい、会ってみたい、話がしてみたい、とわりと率直に伝えている気がする。ここまでストレートな言い方じゃなかったとしても、たぶん態度に出ているような……。

わりとすぐに人のことを好きになってしまうんです。いいなあ、すてきだなあ、と思ったらゴーです。気づいたらゴーしている。
だけど、しっかり臆病な性格と人見知りな部分に、私の積極的な態度が覆われてしまって、「仲良くなりたいと思われていると思わなかった」と言われることがあります。伝わってほしい、伝わっているはず、という気持ちはいつだって独りよがりなものですね。

去年、はじめて晩ちゃんと会ったけれど、会う前から「話してみたい、できれば仲良くなりたい」と思っていたので、会うのは緊張したけど、人見知るよりも先に、晩ちゃんへの興味や関心が自分の態度を決めてくれたような感じがあります。(そのとき一緒にBREWBOOKSに行ったね)
あなたのことをもっと知りたい、私のことも知って欲しい、という純粋な欲求がうまれるときに、自分の殻がほどけて、いつも自分ばっかりで占められている自分の中に誰かを招いてみたくなる。そうすると、いつもとちがう自分にも出会えたりもして、会う人によって変化する自分というものは、おもしろくて、なんて信用ならないものなんだろうって思ったりする。

仲良くなるまでの段取りみたいなものは、たぶん私にはありません。仲良くなれるかどうかは運次第というか、自分の意思だけではどうにもならないことのような気がするから。
だけど、自分ではどうにもならないことばかりの中で、この人のことをもっと知りたい、仲良くなりたいって、自然に心が動いたことを大切にしたいから、「私はあなたに興味があります」っていうメッセージを、自分なりに表現したいって思ってる。

この連載も、もっとふたりと仲良くなれたらいいな、って思って誘いました。
その人と一緒にやってみたいことを考えて誘ってみるというのは、私の仲良くなるための手段の一つかもしれない。

星野文月 / Fuzuki Hoshino

作家。著書に『私の証明』『プールの底から月を見る』など。me and you little magazine & clubにて「呼びようのない暮らし」を連載中。