好きなチェーン店 小原晩

ばんぶんぼん!は作家の小原晩、星野文月とBREWBOOKS尾崎大輔の3人によるリレー連載です。3人で話してみたいテーマを持ち寄って、自分の思うこと、ふたりに聞いてみたいことなどを書いていきます。連載のタイトルは3人の名前や愛称をくっつけました。


文・写真・題字:小原晩/星野文月/尾崎大輔
キービジュアル:モノ・ホーミー

好きなチェーン店はいくつもある。
ガスト。サイゼリヤ。ロイヤルホスト。デニーズ。ビッグボーイ。はなまるうどん。ゆで太郎。松屋。なか卯。スシロー。カレーハウス CoCo壱。ハンバーグレストラン  びっくりドンキー。日高屋。餃子の王将。やよい軒。大戸屋。マクドナルド。オリジン弁当。銀だこ。ドトールコーヒーショップ。珈琲所 コメダ珈琲店。サンマルクカフェ。珈琲館。ミスタードーナツ。サーティーワン。銀座コージーコーナー。ねぎし。とんかつ 和幸。神戸屋。
ぱっと思いついた飲食系チェーン店だけでもこんなにある。
とくに、ガストのチーズインハンバーグ、はなまるうどんの塩豚おろしぶっかけあったかいの中、スシローの海老バジルチーズ、ねぎしのがんこちゃんセット (とろろの温玉変更)、とんかつ和幸のおろしひれかつ御飯は堂々の殿堂入りだ。
しかし先日、ねぎしのメニューからがんこちゃんセットが消えてしまった。あろうことか、とろろを温玉に変更できるシステムも消えてしまった。同じメニューをずっと追いかけ続けていると、こういうことはよくある。
スシローから海老バジルチーズ(蒸し海老にチーズ。そこにバジルソースをかけて炙ったもの)が消えたこともあった。けれど、わたしのような根強いファンがいたのだろう。ある日、海老バジルチーズは復活したのだった。あのときはうれしかったなあ。
はなまるうどんの塩豚おろしぶっかけあったかいの中に関しては——わたしのおぼろな記憶だけれど——出はじめの頃は、豚肉と塩だれを合わせるとき炒めていたけれど、最近は塩だれをただ上からぶっかけるかたちになった。当然、味は落ちた、ように感じているのはわたしだけだろうか。けれど、それでも、どれだけ文句を言っても、やっぱり、わたしは、これからも、塩豚おろしぶっかけあったかいの中をたべつづけたいとおもっている。雪の日も、真夏の夜も、風邪をひいても、絶好調でも、塩豚おろしぶっかけあったかいの中をたべてきたのだ。店員さんは「おんしおぶちゅう」と略してコールすることだって知っているんだ。
ああ、ひとに話すほどでもないけれど、という話ができてうれしいな。
いつかチェーン店の好きなメニューや、そこで過ごす時間についての本を一冊つくりたい。

小原晩 / Ban Obara

2022年初のエッセイ集となる『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』を自費出版。2023年「小説すばる」に読切小説「発光しましょう」を発表し、話題になる。 9月に初の商業出版作品として『これが生活なのかしらん』を大和書房から刊行。